住宅メーカーの家は安いか高いか・・・?
(家は買うもの?建てるもの?)
住宅メーカーの作る家は建築家(と工務店)が建てる家より安いのでしょうか。 メーカーというものは工場で部品を量産することによりコストを下げます。つまりはその部品がたくさん売れるかどうかにより量産効果が現れるか現われないかの違いが出てきます。例えば車の場合には量産効果が現れやすい製品です。百パーセント工場生産品ですし、土地の値段という付帯要素もありません(製品の値段じたいぜんぜん違いますし)。また五年もすれば買い替え時で十年も過ぎるとポンコツです。家の場合は何十年ももってもらわなければ困ります。
また家の場合はどうしても製品化できない部分があります。それは例えば基礎です。基礎を製品化する試みもありますが基礎が果たす役割を考えた場合それを百パーセントを代用することはできませんでした。メーカーの家でも土を掘り、わりぐり石を入れ、つき固め、型枠をつくり、鉄筋を組んで、コンクリートを流しこむ、といった作業はすべて手仕事なのです。また当然のことながら部品を現場で組みあげなければならないという現場仕事という要素もあります。
そんな状況の中でいったい年間何棟売れば量産効果が現れるのでしょうか。そのうえ家の値段の中には大勢の営業マンやばく大な宣伝費、モデルハウスの建築費,工場等の設備投資、そして当然ながらたくさんの優秀な設計者達への給料もふくまれるのです。住宅メーカーはスタート地点から重い十字架を背負っているような気がします。
アメリカなどではハウスメーカーというものはなく、建具や部材のメーカーが共通の規格のものをつくっていて、地域ごとにいるビルダーがそれを使って住宅を建てます。アメリカの住宅コストが安い理由のひとつです。
一つのメーカーにはいくつかのモデルがあります。車で例えれば、九十万円程度のスター○ットから三百万円台のソ○ラや四百万円台のランド○ルーザーなどです。これらは基本的性能は走ることでまったく同じです。ではこれだけの値段の違いはどこから出てくるのでしょうか。一番大きいのはどれだけ部品を共通化しているかということです。スタンダードで量産できる部品をたくさん使っていればいるほど安くなります。特殊な部品を使えばそれだけ値段は高くなります。
次に大きいのは安い材料を使うということでしょう。例えば塗料などです。高い塗料を使えば車のボディの輝きは何十年も持つのでしょうが、十年で廃車だということを考えれば低価格車の場合、もっと安い材料でも十分なのです。また塗りも回数が多ければ手間が増えるので、すくない回数の方が安く上がります。かわった事をしようとすればコストが上がるのです。
家の場合にはそのメーカーが作っていない部品というものもあります。キッチンやバスルームなどの、設備部分とか窓サッシなどです。こういったものは他のメーカーから大量に仕入れることを条件に安く購入します。つまりその住宅メーカーの取引している製品メーカーのものでなければ使えないということです。その製品が気にいればまったく問題はありませんが他のメーカーを使うことは不可能ですし、より高いグレードにしようとすればオプションということで全く違う高い金額が提示されます。
建築家は価格帯によりどんな家を建てるでしょうか。ハウスメーカーのローコストな価格帯の家の間取りや内装が気にいれば、そこそこ住めるものが手に入るでしょう。建築家がローコストの家を作る場合には解答がまるで違うものになると思います。結構建築家はローコストという問題を突き付けられると燃えてくるもので、いろいろなことを提案します。そしてその結果はいわゆる4LDKカーポート付というようなものではなくもっとユニークな思想が詰まった家になると思います。それが気に入るかどうかの個人差は大きいと思いますが。
中程度のクラスの家を建築家に頼むと、いわゆる4LDKカーポート付みたいなハウスメーカー的な家も作れますし、もっと施主の事情に合わせたことを考えていろいろな提案を盛り込んだ家にすることもできます。この辺の違いは微妙なところで施主サイドが明確な問題意識を持っているかどうかによってかなり違います。
最初から土地形状が歪つだったり、二世帯など住まう人間の事情がいりくんでいたりすると、かえって問題意識がはっきりしているので使って楽しい良い家になると思います。
かなりお金がかけられるようであれば住宅展示場にあるような家が手に入ります。メーカーもさまざまなアイテムを盛り込んできます。特に内装に関しては機能満載で便利なものに仕上げることが可能です。その場合の違いといえば全体の形態です。あくまで住宅メーカーは最初設計されたモデルを大きく逸脱することはできません。そのかわり完成度としては非常に高いものが期待できます。
建築家の場合には決まったモデルというものは設計者の頭の中にしか存在しません。設計者のアイデアが許す限りどのような形態でも可能です。 こうして考えると結論は月並みなものになります。要は住宅メーカーがスタンダードで提供するものが気に入れば住宅メーカーの方が良いかもしれません。
しかしちょっとでもそれが気に入らなくてもっと違うものにしたいと考えた場合には建築家に頼んだほうが安いのではないでしょうか。