うちには年寄りはいないからバリアフリーなんて関係ない?


バリアフリーという言葉が現れてしばらく立ちます。もともと身体障害者
(ハンディキャップス)の人たちも健常者と同じような生活を社会の中で暮らせるようにしようという運動だったのです。当然それはハンディキャップをもった人々が利用しやすい公共施設や住む家が中心でしたが、最近ではお年寄りが住みやすい家としても注目されています。

バリアフリーというと、とかく手すりだらけの家や段差をなくした平らな床などを想像します。そんな家は今は必要ないよという言葉もよく聞きます。そのとおりでバリアフリーとはハンディを持った人のための特殊なものを作る事ではありません。健常者もハンディを持った人も同じように使えることが基本なのです。

時間の経過とともに、家が要求される性能は変化します。これは家族を単位としたファミリーサイクルという言葉によってあらわされます。@夫婦期 A拡大期(子育て期) B成熟期 C縮小期(独立期) D老夫婦期 E老年単身期 と、いうのが一般的な核家族で現れるサイクルです。

やがてはだれでも迎える老年期に備えて、そして現代では二世帯住宅のようにファミリーサイクルに新たなサイクルが付け加えられるようにもなってきていますが、そうした家では若者と老人が同じように生活できることが求められます。

では家を建てる時には必ず手すりをつけたり段差をなくしたりしなければいけないのでしょうか?もちろんそうではありません。バリアフリーの基本とはまず十分な広さがあるということです。いえいえなにも豪邸を建てろと言っているのではありません。将来車イスや介護の手を借りて、家の中を移動するようなことがあった場合に、それだけの広さが個々の部位にとれるということです。これは何も車いすのためだけに良いことではありません。日本の住宅の歴史の中では仕方がない事情もあったのですが、日本の住宅はあちらこちらがあまりに狭く小さく作られています。基本的な寸法をもっと大きくとることは体格の向上した現代の日本人にとって、健康な人でも必要なことではないでしょうか。

(基本的寸法とは、今は、尺寸のことです。この時代にまったく奇妙なことですが、家を建てる時の基準となる寸法は尺寸法で測られるのです。単位こそmmですが基本のモジュールは910mmで、これは3尺なのです。これは建材(柱になる材木や合板など)が尺寸で売られているからなのです。)

玄関ドアなどは、なるべく大きなものを選びたいです。できれば親子ドアになっていてフルオープンにすると一メートル以上の幅は取れることが望ましいです。というのはこれは何も車いすのためだけではなく、大きな家具を搬入したり、また改装時にさまざまな材料を運び入れるのに非常に役に立ちます。

メンテナンスやリフォームをしやすいように作っておく事は重要です。家は手を入れれば長く代々使えるのです。私の知っている事例でせっかく新しく作った家に外国製の家具が入り口から入らなかったので、仕方なく窓を壊して(!)やっとこ入れたという例もあります。また改装時には新しいさまざまな建具や機器類を持ち込むことになりますが、玄関から入らないために大変な苦労するということはよく見受けられる話です。

段差に関しても車いすで移動する場合にはまっ平らが必要になりますが、通常お年寄りが転んでケガをする場所というのは、ほとんど何の変哲もないまっ平な場所で、ほんのわずか敷居が顔をだしていて、そこにけつまづく、などということが多いのです。このような場合には逆に段差をはっきりと造るのもひとつの手です。廊下の幅を大きくしたり、かもいの位置を高くしたりすることは気持ちの良い家をつくるのにも役立ちます。

必ずしも手すりなどは必要ありません。ただし後になって必要になった場合つけられるようにはしておきましょう。例えば廊下や階段の壁の裏には、あとから手すりをつけられるよう下地となる木を入れます。または腰壁のように腰から下に板張りの飾りをいれるのもひとつの手です。そうすれば腰壁の上端に手をかけられたり、また必要になったら腰壁には手すりをつけることができます。(最近は、下地のない壁につけられる手すりも製品化されているようです)

ほんのちょっとした工夫で健康な人が楽しく遅らせて、お年寄りにもやさしい家がつくれます。