ツーバイの方が強いんでしょう?
最近はツーバイフォーの家もだんだん増えてきました。阪神大震災で倒壊した家屋がいっぱい出ましたがツーバイの方が被害が少なかったとのもっぱらの評判でツーバイの方が地震には強いといわれていますが、これは本当でしょうか。 ツーバイとか在来工法と呼ばれている工法の違いとはどんなところにあるのでしょう。建築の構造は大きく分けると二種類の構造に分けられます。一つは壁式構造でもうひとつは軸組み構造です。
壁式構造はヨーロッパの伝統的な工法でもともとは石を組んで壁を作り、その上に屋根を乗せて作ったことから始まります。その壁は土を固めて焼いたレンガで作ったり丸太を組んで作った壁だったりしました。やがて丸太は製材した木材に変わり、障子の桟のような枠に板を打ちつけて作った壁を組み合わせて壁を作るようになりました。これがツーバイフォーの原型です。
ツーバイフォーは日本語で言うと木造枠組み壁工法と呼ばれ、壁式構造の一類です。その壁の芯になる障子の桟の部分の木材が二インチ×四インチだったことから、ツーバイフォーと呼ばれるようになりました。今では二インチ×六インチが主流なのですが、アメリカではプラットホーム工法と呼ばれています。木枠に板を張って作ったプラットホームの上に同じようにして作った壁をパタパタ組み上げていくとことからそのような名前がついたのでしょう。
在来工法は正式には木造軸組み工法といいます。これはそのむかし中国から渡ってきた建築技術者が寺社仏閣を作るために持ち込んだ工法です。柱を立て梁をわたし、その上に屋根をかけるこのやり方は木造の巨大な建築を造るのに向いている工法でした。やがてこの技術が民間に流出し日本の建築の主流となったのです。東大寺の正倉院のように校倉造りと呼ばれるログハウスは結局は主流にはなりませんでした。日本の気候には開放的な造りがのほうが合っていたのもひとつの理由でしょう
コンクリートにも壁式構造と軸組み構造の違いはあります。一般に中高層のビルは柱と梁をコンクリートで作る軸組み構造で壁式構造は住宅のような小規模の建築が向いています。鉄骨造はすべて軸組み構造です。
ツーバイはいわばボール紙で作ったサイコロのようなものです。紙のままの状態ではペラペラの弱いものですが、一旦箱の形に組み上るとちょっとやそっとの力では壊れません。しかしこの箱に窓を開けてみると小さい窓ならともかく、ちょっと大きな窓だと力を加えたとたんにそこからグシャッととつぶれてしまいます。
軸組み構造はマッチ棒で作った箱 のようです。マッチ棒の先端同士を接着剤でくっつけながら四角い箱を作ります。出来上がった箱は風通しは非常に良いのですが変形させる力に対しては接着剤でのみ対抗するしかありません。接合部が外れたとたん、グシャッとつぶれます。このため、斜めに筋交いを入れて変形しないように補強します。
このようにツーバイは箱としての強度は非常に強いのですが開口を開けると途端に弱くなる傾向があります。そのために開口部はそれ相応の補強が必要になります。カナダにはとても格好の良い住宅もあるのですが日本の基準ではあれほど大きい開口はとれません。日本の基準では一方向の壁(一つの耐力壁線)に4m以内の開口しかとれません。
軸組み工法においては接合部が構造上の弱点になり、それを補強するために筋交いや火打ちと呼ばれる斜めに隅を固める補強材が必要になるのです。
このようにツーバイにも在来にもそれぞれの特徴がありそれぞれの弱点があります。ツーバイであっても開口部を補強すれば十分に大きな窓は(4m以内)取れますし、在来工法でも筋交いや、構造用合板と呼ばれる板材で壁を固めてしまい、枠組み工法のような強度を得ることもできます。
阪神大震災において、倒壊した家は古い家が多く耐震性能も十分な家ではなかったものがほとんどです。ツーバイが倒壊しなかったのは新しい家が多かったせいでもあるのです。
それぞれの構造の特徴を理解し丁寧に施行すればどちらの工法でも十分な強度は得られるのです。